事例の背景
「院長、先代の時はこんなこと言われませんでしたよ」 茨城県内で30年続く歯科医院を継承したばかりのH院長は、スタッフの冷ややかな視線に晒されていました。
継承して驚いたのは、あまりにも不透明な給与体系です。長く勤めているという理由だけで、地方の相場を大きく上回る給与が支払われ、人件費率は実に40%を超えていました。これでは最新の機材導入どころか、自身の役員報酬すら満足に確保できません。 H院長は自力で「評価制度」を作ろうと試みましたが、ベテランスタッフからの猛反発に遭い、院内の空気は最悪に。「嫌なら辞めてもいい」と強気に出る勇気もなく、夜な夜な一人で診療室に残り、資金繰り表を見ては溜息をつく日々。
「このままでは、父が守ってきた医院を自分の代で潰してしまう」 先代の頃からの付き合いだった税理士に相談しても「長年の功労者ですからねぇ」と濁されるだけ。 「経営者として、対等に議論できる軍師が必要だ」 そう確信したH院長が、現状を打破するために辿り着いたのが、当事務所のコンサルティングでした。
当事務所からのご提案
H院長のケースは、単なる節税ではなく、組織の「外科手術」が必要な状況でした。私たちは、最も手厚い**「キャッシュアップ顧問(エグゼクティブ)」**として、以下の施策を断行しました。
① 「感情」を排除した、徹底的な収支シミュレーション
まずは、現状のまま経営を続けた場合の「5年後の現預金残高」を、1円単位で可視化しました。結果は、3年後に資金ショート。この衝撃的な事実をH院長と共有し、「今、嫌われてでも変えなければ、スタッフ全員が路頭に迷う」という覚悟を決めていただきました。 エグゼクティブプランならではの頻回なミーティングを重ね、院長がスタッフに語るべき「未来のビジョン」を言葉に落とし込む作業を徹底サポートしました。
② 給与体系の「ソフトランディング」移行
いきなりの給与カットは法的にもリスクがあります。そこで、基本給は維持しつつ、賞与や手当を「自費成約率」や「リコール維持率」といった、明確な生産性指標と連動させる新制度を設計しました。 「頑張った人が報われる」という正論を、専門家である私たちが第三者の立場から説明することで、ベテランスタッフの納得感を引き出し、反発を最小限に抑えました。
③ 借換融資によるキャッシュフローの正常化
先代からの古い借入金が残っていたため、金融機関との交渉に同席。返済期間の延長と金利の引き下げを行い、月々の返済額を30%削減しました。これにより生まれた余剰資金を、若手スタッフの採用と研修費に充てる「プラスの投資サイクル」へと組み替えました。 単なる数字の管理に留まらず、銀行担当者とのタフな交渉も私たちが代行することで、院長は診療とマネジメントに専念できる環境を整えました。
お客様の声
承継した当初は、スタッフの顔色を伺ってばかりで、自分が院長なのか何なのか分からなくなっていました。エグゼクティブ顧問をお願いして一番変わったのは、私の「覚悟」だと思います。 数字の裏付けがあるから、スタッフに対しても「うちはこうしていく」と堂々と言えるようになりました。
最初は新制度に懐疑的だったベテランスタッフも、自分の頑張りが数字で評価されるようになると、意外にも積極的に動いてくれるようになりました。もし一人でやっていたら、間違いなく空中分解していたでしょう。 「経営の軍師」として、時に厳しく、時に励まして伴走してくれる存在がいなければ、今の安定した経営はありません。 これから承継を控えている先生や、スタッフとの関係で夜も眠れない先生にこそ、この手厚いサポートを知ってほしいです。