事例の背景
「分院を出すたびに、自分の手元からコントロールが失われていく感覚でした」 千葉県内で3つの歯科医院を経営するT理事長は、焦燥感に駆られていました。
1院目の時は、自分が現場に立ち、すべての数字を把握できていました。しかし、2院、3院と増えるにつれ、レセコンの売上報告と通帳の残高がどうしても一致しません。各分院の院長からは「最新の機材が欲しい」「スタッフが足りない」と要求ばかりが届き、気づけば法人全体のキャッシュフローが危機的な状況に。
「このままでは、どこかの分院が転べば共倒れになってしまう」 これまでの会計事務所は、各分院の試算表をバラバラに出してくるだけで、法人全体を俯瞰した「グループ経営」のアドバイスは皆無でした。T理事長は自ら夜遅くまでExcelを叩いて資金繰りを確認していましたが、現場の診療と経営管理の両立に限界を感じ、 「歯科経営の『構造』を理解し、参謀として組織を整えてくれるプロ」 を求めて、当事務所の門を叩かれました。
当事務所からのご提案
T理事長のケースは、もはや「個人の節税」のフェーズではなく、**「企業としてのガバナンス強化」が必要な段階でした。私たちは「キャッシュアップ顧問(エグゼクティブ)」**として、法人のバリューを高めるための以下の「本部機能構築」を提案しました。
① クラウド統合による「経営ダッシュボード」の構築
まず、バラバラだった各分院の会計フローをクラウドで統合しました。 理事長がいつでも、どこでも「全拠点のリアルタイムな現預金残高」と「医業利益率」を確認できるダッシュボードを作成。これにより、現場からの「機材が欲しい」という要求に対しても、「今の法人のキャッシュフローと投資回収期間を考えると、来期の導入が妥当です」と、客観的な数字に基づいた即断即決が可能になりました。
② 分院長への「経営意識」の植え付けと評価制度の連動
分院経営の成功の鍵は、分院長がいかに「自分のクリニック」として数字に責任を持つかです。 私たちは各分院のPL(損益計算書)を細分化し、材料費率や自費率などの重要指標(KPI)を分院長と共有。エグゼクティブ顧問として、理事長に代わって各分院長との「経営数値会議」にも同席しました。 単なるノルマではなく、「利益が出れば、その分を分院の設備やスタッフに還元できる」という透明性の高い仕組みを構築することで、法人の理念を末端まで浸透させました。
③ 金融機関との「一括交渉」による調達コストの最適化
3医院分の多額の借入金を一本化し、法人全体のクレジット(信用力)を活かした金利交渉を代行しました。 歯科専門の事業計画書を提示し、銀行から「この法人は管理体制が盤石である」という評価を得ることで、優遇金利でのリファイナンスに成功。年間数百万円の金利負担を削減し、それを分院展開のための「次なる投資資金」へと戦略的に振り向けました。
お客様の声
「理事長の仕事は、診療ではなく経営判断である」 当事務所に言われたこの言葉で、目が覚めました。それまでは、分院のトラブル対応や数字の計算に追われ、本来考えるべき「法人の未来」に時間を使えていませんでした。
エグゼクティブ顧問を導入してからは、法人の数字がガラス張りになり、霧が晴れたような気分です。特に、分院長たちが数字に興味を持ち、自ら改善提案をしてくるようになった変化には驚きました。 もしあのまま、どんぶり勘定で4院目を出していたら、今頃は組織が空中分解していたかもしれません。
「組織が大きくなって、現場のことが見えにくくなってきた」と感じている理事長先生。税理士を「記帳代行」ではなく「経営のインフラ」として捉え直すことで、医院のバリューは確実に向上します。私たちは今、自信を持って次のステップへ進めています。