事例の背景
「売上は上がっているはずなのに、なぜ毎月、銀行の引き落とし日にヒヤヒヤしなければならないのか」 埼玉県内で開業して4年目を迎えたY院長は、深刻なキャッシュ不足に陥っていました。
開業当初の設備投資による多額の借入返済に加え、家族の生活費や子供の教育費、そして想定外に膨らんだ所得税の支払い。以前の会計事務所は、通帳の数字を合わせるだけの「過去の集計」に終始しており、将来の資金不足に警鐘を鳴らしてはくれませんでした。 院長自身も、医院の通帳から生活費を「必要な分だけ引き出す」という感覚でいたため、気づけば個人の所得税率が最高水準に近いにもかかわらず、手元に納税資金が1円も残っていないという、極めて危険な状態にありました。
「このままではスタッフの給料が払えなくなるかもしれない」 そんな恐怖で夜も眠れず、診療中も数字のことが頭をよぎる日々。自分一人の力では、この絡まった糸を解けないと痛感し、経営の「再構築」を求めて当事務所を頼られました。
当事務所からのご提案
Y院長のケースは、売上の問題ではなく、**「公私の混同」と「支出の優先順位」に原因がありました。私たちは「キャッシュアップ顧問(スタンダード)」**として、以下の再生ロードマップを提示しました。
医院と個人の「資金ルート」の完全遮断
まず、医院の事業用口座と、院長の生活用口座を完全に切り分けました。 「足りないから引き出す」のではなく、経営シミュレーションに基づいた「適正な役員報酬(生活費)」を定額で設定。さらに、所得税や住民税などの将来の納税分を、毎月決まった額だけ別口座に「強制プール」する仕組みを構築しました。これにより、通帳残高を見て「使えるお金がある」と誤認するリスクをゼロにしました。
人件費率と材料費率の「聖域なき見直し」
当時の人件費率は35%を超え、材料費も在庫過多により15%に達していました。 これを歯科経営の適正指標である人件費率25〜30%、材料費率10%以内へ近づけるため、シフトの最適化と在庫管理のルール化を徹底。単なる削減ではなく、1チェアあたりの時間生産性を高めることで、スタッフの給与水準を維持したまま、医院に残る利益率を5%以上改善させるプランを実行しました。
借換融資による「返済額」の圧縮と資金余力の確保
短期の借入金や、金利の高いリースの支払いが資金繰りを圧迫していたため、金融機関との再交渉をサポートしました。 返済期間の延長(リスケジュール)ではなく、健全な「一本化」と「期間の見直し」を行うことで、月々のキャッシュアウトを大幅に軽減。これにより生まれた資金余力を「守りの現預金」として積み上げ、精神的な余裕を取り戻すことで、院長が本来の「攻めの診療」に集中できる環境を整えました。
お客様の声
「あの時、相談していなければ、今頃うちは潰れていたかもしれません」 今振り返ると、自分がいかに恐ろしい状態で経営をしていたかが分かります。売上が上がっていることに安心して、中身のスカスカな数字に目をつぶっていました。
当事務所に入ってもらって一番大きかったのは、自分の生活スタイルを含めた「お金の使い方」にメスを入れてくれたことです。最初は「自由に使えるお金が減る」と抵抗もありましたが、決まった額でやりくりし、納税資金が確実に貯まっていく安心感には代えられません。
おかげさまで、今は半年先までの資金繰りに一切の不安がありません。スタッフに対しても、自信を持って「この目標を達成したら還元できる」と数字で話せるようになりました。開業して数年、「なんだかお金が残らない」と独りで悩んでいる先生は、手遅れになる前にプロの診断を受けるべきだと確信しています。