事例の背景
「説明に時間をかければ診療が押す、診療を優先すれば自費が選ばれない。このジレンマから抜け出せませんでした」 横浜市内で高い技術力を誇るA院長でしたが、経営面では「自分の代わりがいない」という限界を感じていました。
インプラントや矯正など、質の高い治療を提案したい想いはあるものの、チェアサイドでの説明には限界があります。スタッフにカウンセリングを任せようとした時期もありましたが、何を基準に評価すればいいか曖昧で、結局は「院長が話したほうが早い」という元の状態に逆戻り。自費率は25%前後で停滞し、忙しいわりに利益率が上がらない状況が続いていました。
「技術を売る職人ではなく、組織を動かす経営者になりたい」 そう願ったA院長が求めたのは、単なる税務申告ではなく、スタッフが自立して利益を生む「仕組み」を作れるパートナーでした。エグゼクティブ顧問として、医院の文化そのものを変えるためのプロジェクトが始まりました。
当事務所からのご提案
A院長の課題は、カウンセリングという高付加価値な業務が「院長の善意」に依存していたことでした。私たちは**「キャッシュアップ顧問(エグゼクティブ)」**として、以下の組織変革ロードマップを提示しました。
TC(トリートメントコーディネーター)部門の確立と教育支援
まず、歯科衛生士や受付の中から適性のあるスタッフを選抜し、TCとしての専任化をサポートしました。 単に「説明する人」を作るのではなく、カウンセリングによる「成約1件あたりの期待利益」を算出。TCが介在することで、院長がどれだけ診療(オペ)に集中できる時間を生み出せるかを可視化しました。これにより、スタッフ自身が「自分の仕事が医院の価値をどう高めているか」を数字で理解できる土壌を整えました。
納得感のある「生産性連動型」インセンティブ設計
TCやスタッフのモチベーションを維持するため、自費成約率やリコール維持率に基づいた評価制度をゼロから構築しました。 「頑張りを評価する」という抽象的な表現を廃止し、医院に残った利益の一部を原資としてスタッフに還元するルールを策定。税理士の立場から「これだけの利益が出れば、これだけのボーナスを出しても法人のキャッシュフローは盤石である」という裏付けを示すことで、院長もスタッフも、お金の話をポジティブに共有できる環境を作りました。
ユニット1台あたりの「限界利益」最大化戦略
TCの導入によって空いた院長の時間を、難易度の高い自費診療に集中させるアポイント編成を実施しました。 ユニット1台、1時間あたりの限界利益をKPI(重要指標)として設定。材料費の無駄を省き、自費率を45%まで引き上げるための戦略的な診療メニューの見直しを行いました。この「選択と集中」により、法人全体の内部留保は劇的に改善し、将来の分院展開や最新機材のキャッシュ購入が可能なほどの企業バリューを実現しました。
お客様の声
「税理士さんにここまで踏み込まれるとは思っていませんでした」 これが正直な感想です。以前の会計事務所は数字の結果を教えてくれるだけでしたが、当事務所は「どうすればその数字を作れるか」という現場の仕組みまで一緒に考えてくれました。
TCを導入し、評価制度を整えたことで、スタッフの顔つきが変わりました。「院長のために働く」のではなく、「患者さんと医院のために、自ら数字を作る」という意識が芽生えたのは、私にとって最大の財産です。自費率が目に見えて上がったことも嬉しいですが、何より私自身が診療に集中でき、心から歯科医師としての喜びを感じられるようになったことが一番の収穫です。
「自分がいないと回らない」と悩んでいる院長先生。エグゼクティブ顧問の力で、医院を「組織」へと進化させる決断をしてみてはいかがでしょうか。そこには、一人では辿り着けなかった景色が待っています。