事例の背景
「スタッフには長く働いてほしいけれど、社会保険料の負担を考えると、経営が立ち行かなくなるのではないか」 茨城県内で着実に患者数を増やしていたM院長は、深刻な悩みを抱えていました。
近隣に大型の歯科法人が進出し、社会保険完備を条件に求人を出す中、個人事業主であるM院長の医院では優秀なスタッフの採用が年々難しくなっていました。スタッフの将来を思えば厚生年金に加入させてあげたいという想いがある一方、以前の会計事務所からは「手残りが減るだけですよ」と消極的なアドバイスをされるだけ。 具体的なコストの総額や、それをどうやって利益で補うかのシミュレーションがないまま、不安だけが膨らんでいました。
「今のままでは、5年後、10年後にスタッフが誰もいなくなってしまう」 そんな危機感から、コスト増を「経営の成長」で飲み込むための具体的な戦略を求めて、当事務所へ相談に来られました。
当事務所からのご提案
M院長の課題は、社会保険料という「守りのコスト」を、いかに「攻めの投資」へと転換するかでした。私たちは**「キャッシュアップ顧問(スタンダード)」**として、法人のバリュー(価値)を高めるための以下の再設計を提案しました。
社会保険加入に伴う「実質キャッシュアウト」の精緻な試算
まず、スタッフ全員が加入した場合の法人負担額を1円単位で算出しました。 同時に、法人化のメリット(所得分散や経費算入)を組み合わせることで、実質的な手残り資金への影響を最小限に抑える「最適解」を提示。単なる「支出増」として捉えるのではなく、長期的な節税効果と採用コストの削減効果を含めたトータルな資金繰り計画を策定しました。
コスト増を相殺するための「診療効率化」と自費比率の向上
社会保険料の負担分を補うため、1チェアあたりの生産性を高める具体的な施策を導入しました。 アポイントの隙間時間を徹底的に排除し、歯科衛生士による予防・メインテナンス業務の自費メニュー化を支援。無理な労働時間の延長ではなく、付加価値の高い処置へのシフトを行うことで、社会保険加入前よりも高い医業利益率を確保できる体質へと筋肉質化を図りました。
「社保完備」を武器にした採用戦略とスタッフエンゲージメントの強化
社会保険加入を単なる事務手続きで終わらせず、スタッフに「安心して長く働ける環境」であることを全力で伝えました。 当事務所が作成した「将来の年金受給額のシミュレーション」などを通じて、スタッフの金銭的な安心感を醸成。結果として、求人を出せばすぐに優秀な歯科衛生士が集まるようになり、採用代行会社への高額な手数料をゼロにすることで、企業価値(バリュー)のさらなる向上を実現しました。
お客さまの声
「社会保険は高い、経営を圧迫する」という先入観だけで、ずっと二の足を踏んでいました。 でも、当事務所に具体的な数字を出してもらい、「どうやってその分を稼ぎ出すか」の道筋を立ててもらったことで、ようやく決断することができました。
実際に加入してみて驚いたのは、求人の反応が劇的に変わったことです。これまで苦戦していた歯科衛生士の採用がスムーズになり、何より今いるスタッフたちが「院長は私たちのことを考えてくれている」と、以前よりも自発的に診療効率を上げる工夫をしてくれるようになりました。
コストを恐れて守りに入るのではなく、スタッフの安心に投資し、それを仕組みで回収する。この当たり前でいて難しい経営の舵取りを、数字の面から支えてくれたパートナーに感謝しています。今では、地域で一番「働きたい」と言われるクリニックを目指す自信がつきました。