事例の背景
「これ以上、ユニットを増やすスペースも、スタッフを増やす余裕もありませんでした」 千葉県内の駅前で開業するS院長は、物理的な限界に突き当たっていました。
ユニット3台は常に埋まり、院長もスタッフも息つく暇がないほど忙しい。しかし、月末の試算表を見ると、売上は横ばいで、忙しさに見合う利益が出ていない。以前の会計事務所からは「もっと自費を増やしましょう」と言われましたが、地域柄、保険診療がメインであり、無理な自費誘導は患者離れを招くリスクがありました。
「今の規模のまま、もっとスマートに、かつ確実に手残りを増やす方法はないのか」 拡大という選択肢を取れない小規模医院が、そのバリュー(価値)を最大化するための「緻密なデータ経営」を求めて、当事務所へ相談に来られました。
当事務所からのご提案
S院長の課題は、「アポイントの質」が管理されていないことにありました。私たちは**「キャッシュアップ顧問(スタンダード)」**として、以下の「高密度経営」を提案しました。
アポイント占有率と「時間単価」の可視化
まず、過去数ヶ月の予約データを分析し、処置内容ごとの「1分あたりの診療報酬」を算出しました。 すると、特定の保険処置が不必要に長い時間を占有し、後続の予約を圧迫していることが判明。アポイントを「15分単位」で再定義し、院長が動く時間と歯科衛生士が動く時間をパズルのように組み合わせることで、ユニットの稼働率を落とさずに、1日あたりの診察人数を無理なく1.3倍に増やす設計図を作成しました。
「無断キャンセル」をゼロにする管理フローの導入
小規模医院にとって、1件のキャンセルは利益率を直撃する大打撃です。 当事務所のアドバイスにより、前日のリマインド連絡を徹底するとともに、「キャンセル待ちリスト」をリアルタイムで運用。空きが出た瞬間に、近隣の定期検診希望者に連絡を入れる仕組みを構築しました。これにより、ユニットの「空回し」時間を月間で数十時間削減し、そのまま純利益へと転換させました。
経費の「固定費」を徹底的に変動費化
売上が上がっても利益が残るよう、材料費や消耗品の在庫を「必要な分だけ」発注するジャストインタイム方式を徹底。 また、スタッフの残業代を「診療効率化によるインセンティブ」へと一部置き換えることで、スタッフ自身が「いかに手際よく診療を回すか」を自発的に考える組織文化を作りました。数字に基づいた評価制度を導入することで、院長の指示待ちではない、バリューの高いチームへと進化させました。
お客様の声
「ユニットを増やさなくても、まだこんなに伸びしろがあったのかと驚きました」 当事務所に分析してもらうまで、自分の医院の『時間の無駄』に全く気づいていませんでした。以前はただ忙しいだけで、スタッフも疲弊していましたが、今はアポイントのルールが明確になり、以前よりもスムーズに診療が回っています。
一番の変化は、通帳に残るお金が、売上の伸び以上に増えたことです。無駄な空き時間を徹底して排除し、効率よく患者さんを診ることで、15分あたりの収益性がここまで変わるとは思いませんでした。
『自費を上げろ』と急かされるのではなく、『今の保険診療をいかに磨き上げるか』を一緒に考えてくれたことに感謝しています。小さな医院でも、数字を味方につければ、大手にも負けない強固な経営ができる。その自信を持つことができました。