椿 祐輔
監査法人・会計事務所での実務を経て、2012年に椿公認会計士事務所を開設。富裕層を対象としたプライベートバンク業務にて、「個人」と「法人」の資金設計や資産管理を行ってきた経験を活かし、歯科医院の“お金が残らない”という悩みに応えるキャッシュアップ支援を行っている。
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[キャッシュアップ顧問]
失敗しない歯科医院の税理士・会計士の選び方|避けるべき7タイプと乗り換えの判断を税理士公認会計士が解説
「今の税理士、何となく続けているけれど、本当にこのままでいいのだろうか」——歯科医院を経営される先生から、当事務所にセカンドオピニオンのご相談が来るとき、必ずと言っていいほど出てくる言葉です。
税理士は、一度契約すると付き合いが長くなる相手です。だからこそ、最初の選び方を誤ったり、合わない相手と惰性で続けたりすると、払っている顧問料以上の損——余分な税金、受けられなかった提案、判断の遅れ——が、積み重なっていきます。
この記事では、「良い税理士の選び方」を並べるのではなく、失敗を避けるという視点から、避けるべき税理士のタイプ、歯科医院ならではの見分け方、そして乗り換えを考えるべきサインと手順まで、顧問先の約半数を歯科医院が占める税理士公認会計士の立場でお伝えします。
この記事でわかること
税理士選びの考え方は、当事務所のYouTubeチャンネル「ドクターのための会計税務ch」でも解説しています。まず要点を押さえたい先生は、こちらの動画からご覧ください。
「失敗」と一口に言っても、明確なミスばかりとは限りません。むしろ多いのは、「大きな問題はないが、得られるはずのものを得られていない」という、気づきにくい失敗です。具体的には次のようなものです。
これらは、契約書上は「業務を履行している」ため、表沙汰の問題になりません。しかし、院長先生が本来受け取れるはずだった価値を、静かに取りこぼしています。まずはこの「見えない失敗」を認識することが出発点です。
当事務所にセカンドオピニオンでいらっしゃる先生のお話から見えてくる、注意したいタイプを7つに整理しました。
帳簿づけと申告書の作成で業務が終わってしまい、「どうすれば税金が減るか」「どうすればお金が残るか」という提案がないタイプです。作業はしてくれますが、それは税理士の付加価値のごく一部にすぎません。
歯科医院には、一般の会社にはない論点が数多くあります。社会保険診療報酬の扱い、概算経費の特例(措置法26条)、自費診療との按分、医療法人化や出資持分——。これらを知らない税理士だと、歯科特有の節税や判断を取りこぼします。医業の顧問実績があるかは、必ず確認すべきポイントです。
経営の判断は、待ってくれません。設備投資、採用、資金繰り——「今、聞きたい」ことに素早く答えてくれるかは、顧問税理士の価値を大きく左右します。返事に何日もかかる関係は、機会損失を生みます。
こちらの疑問に、分かりやすく答えてくれるか。専門用語を並べて「難しいことは任せてください」と話を終わらせる相手だと、院長自身が数字を理解できず、経営判断に自身を持てなくなります。
顧問料は安いに越したことはない、と思いがちですが、料金は「受けられるサービスの範囲」とセットです。極端に安い場合、記帳と申告だけで、相談や提案は別料金、という構造のことが少なくありません。安さではなく、料金に対して何をしてくれるかで比べるべきです。
担当者が毎年変わると、医院の事情を一から説明し直すことになり、関係が深まりません。また、営業のときだけ所長が対応し、契約後は新人担当に任せきり、というケースもあります。誰が実際に担当するのかを、契約前に確認しておきましょう。
逆に、節税を強く勧めすぎる税理士にも注意が必要です。不要な保険や設備を「経費になるから」と勧め、手元の現金を減らしてしまう——いわゆる「節税貧乏」に導くタイプです。税金を減らすことと、お金を残すことは違います。詳しくは別記事「歯科医院の節税対策7選」で解説しています。
では逆に、歯科医院にとって良い税理士・会計士は、どう見分ければよいのでしょうか。契約前の面談で確認したいポイントを5つ挙げます。
| 確認すること | 見るべきポイント |
|---|---|
| 医業・歯科の顧問実績 | 歯科医院の顧問をどれくらい持っているか。具体的な件数・規模 |
| 歯科特有の論点への理解 | 措置法26条、医療法人化、出資持分などを自分の言葉で説明できるか |
| 提案の姿勢 | こちらが聞く前に、節税や経営の提案をしてくれるか |
| レスポンスと担当体制 | 誰が担当し、どのくらいの速さで返事が来るか |
| 料金の透明性 | 顧問料に何が含まれ、何が別料金かが明確か |
とくに歯科医院の場合、「措置法26条を使うべきか」「医療法人化の判断ラインをどう見るか」といった具体的な質問を投げてみると、その税理士の医業への習熟度がよく分かります。歯科に強い税理士なら、即座に自分の見解を返してくれるはずです。医療法人化の判断については別記事「歯科医院の医療法人化」もご覧ください。
すでに顧問税理士がいる先生が、乗り換えを考えるべきサインは、次のようなものです。
「長く付き合っているから」「変えるのが面倒だから」と惰性で続けるのは、多くの場合、院長先生にとって損です。税理士の乗り換えは、思っているほど大変ではありません。
引き継ぎに必要な資料は、過去の申告書・決算書・総勘定元帳などです。多くの場合、新しい税理士がこれらの引き継ぎをサポートしてくれます。タイミングは決算・申告が終わった直後がスムーズですが、不満が大きいなら期中でも問題ありません。
※当事務所でも、他の税理士からの乗り換え・セカンドオピニオンのご相談を多数承っています。まずは現状をお聞きするところから始められます。
税理士は、単に帳簿をつけ申告書を出す「作業者」ではありません。医院のお金を守り、経営判断を支え、節税から承継までを一緒に考える「経営のパートナー」です。その視点で選べば、失敗はぐっと減ります。
椿公認会計士事務所は、顧問先の約半数を歯科医院が占める会計事務所です。節税・医療法人化・資金調達・承継まで、歯科医院に特化した知見でご支援しています。他の税理士からの乗り換え・セカンドオピニオンも歓迎です。
「今の税理士のままでいいのか、一度意見を聞いてみたい」——初回のご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
Q1. 歯科医院の税理士は、医療専門でないとダメですか?
A. 必須ではありませんが、歯科医院には社会保険診療報酬や措置法26条、医療法人化、出資持分など特有の論点が多くあります。これらを理解している医業に強い税理士のほうが、取りこぼしなく節税・経営支援を受けられます。
Q2. 顧問料は安いほうがいいのでは?
A. 料金は受けられるサービスの範囲とセットです。極端に安い場合、記帳・申告だけで相談や提案は別料金というケースが少なくありません。安さではなく、料金に対して何をしてくれるかで比較することをおすすめします。
Q3. 今の税理士に不満がありますが、変えるのは大変ですか?
A. 思っているほど大変ではありません。過去の申告書・決算書・会計データを引き継ぐだけで、多くは新しい税理士がサポートしてくれます。決算・申告後の区切りで切り替えるとスムーズです。
Q4. 良い税理士かどうか、面談でどう見分ければいいですか?
A. 歯科の顧問実績、措置法26条や医療法人化など特有論点への理解、提案の姿勢、担当体制とレスポンスの速さ、料金の透明性を確認しましょう。具体的な質問への即答力に、医業への習熟度が表れます。
Q5. 節税を強く勧める税理士は良い税理士ですか?
A. 一概には言えません。不要な保険や設備を『経費になるから』と勧め、手元資金を減らしてしまう場合は要注意です。税金を減らすことと、お金を残すことは別だという視点が大切です。
Q6. 担当者がよく変わるのは問題ですか?
A. 医院の事情を一から説明し直すことになり、関係が深まりにくいという点でデメリットがあります。契約前に、誰が実際に担当するのか、体制を確認しておきましょう。
Q7. 乗り換えのベストなタイミングはいつですか?
A. 決算・申告が終わった直後が引き継ぎの面でスムーズです。ただし不満が大きい場合は期中でも問題ありません。まずは候補と面談し、方向性を固めてから動くとよいでしょう。
Q8. 複数の税理士を比較したほうがいいですか?
A. できれば複数と面談し、提案内容・相性・料金を比較することをおすすめします。とくに医業への理解度は事務所によって差が大きいため、比較する価値があります。
Q9. セカンドオピニオンだけ相談することはできますか?
A. 多くの事務所で可能です。当事務所でも、今の顧問はそのままに、判断に迷う論点だけ意見を聞きたいというご相談を承っています。
Q10. 開業したばかりですが、税理士は必要ですか?
A. 開業初期こそ、記帳体制の構築、消費税や医療法人化の見通し、資金繰りなど判断が多く、専門家の関与が効きます。早い段階で医業に強い税理士と関係を作っておくことをおすすめします。
※本記事は一般的な考え方の解説です。実際の税理士選び・契約は、個別の状況に応じてご判断ください。
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