ご相談のきっかけ
東京都内で開業されて3か月というR様(30代)からの無料相談でした。勤務医から独立し、開業準備に追われる中で税務のことは後回しになっていたそうです。
「開業届は出した記憶があるのですが、他に何が必要なのか分かりません。領収書も、とりあえず箱に入れてあるだけで。誰に何を聞けばいいのかも分からないまま3か月が過ぎました」。
状況の整理(タイムライン)
最初に確認したのは、提出済みの届出です。開業から一定の期間内に出さないと、その年は適用を受けられない届出があります。期限を過ぎると1年待つことになるため、ここが最優先でした。
青色申告承認申請書 これが最重要です。原則として開業から2か月以内に提出する必要があります。青色申告なら、最大65万円の青色申告特別控除、赤字を翌年以降に繰り越せる制度、家族への給与を経費にできる制度などが使えます。白色のままでは、これらがすべて使えません。
青色事業専従者給与に関する届出書 ご家族が医院を手伝う場合に必要です。届出に記載した金額の範囲内でなければ経費にできません。
給与支払事務所等の開設届出書 スタッフを雇う場合に必要です。源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 これを出せば、毎月の源泉所得税の納付を年2回にまとめられます。開業直後の医院では、事務負担の差が大きく出ます。
R様の場合、開業届と青色申告承認申請書は期限内に提出済みでした。一方、納期の特例と専従者給与の届出は未提出でした。
当事務所の対応
未提出の届出を洗い出し、優先順位をつけてお伝えしました。 どれをいつまでに出せばよいか、出さなかった場合に何が起きるかを一覧にしています。
開業費の扱いをご説明しました。 開業前に支出した内装、備品、広告、挨拶回りの費用などは「開業費」として資産に計上し、任意のタイミングで経費にできます。初年度は赤字になりやすいため、利益が出てから償却するほうが有利になることもあります。開業前の領収書は必ず取っておいてください、とお伝えしました。
消費税についても説明しました。 歯科では保険診療が非課税、自費診療が課税です。開業当初は免税事業者となるのが通常ですが、自費売上が伸びれば課税事業者になります。その際、課税方式の選択を届出の期限内に判断する必要があります。今から知っておけば慌てません。
最後に、いま整えるべき経理の仕組みをお伝えしました。 事業用の口座とカードを個人と分けること、領収書は月ごとに封筒で分けること、窓口現金は日次で残高を記録すること。この3つだけで、初年度の記帳はかなり楽になります。
結果
無料相談の時間内で、提出すべき届出と初年度にやるべきことが整理されました。R様はその場でリストを持ち帰り、期限の近いものから手続きを進められています。
「何が分からないのかが分からない状態でした。やることが一覧になっただけで、気持ちがずいぶん楽になりました」とお話しいただいています。
担当者からのひとこと
開業1年目は、期限のある届出が集中します。とくに青色申告承認申請書は、遅れると初年度の優遇がまるごと受けられません。開業してすぐの時期に、一度確認されることをおすすめします。
また、開業前の支出も経費にできます。「開業前だから関係ない」と領収書を捨ててしまう方がいらっしゃいますが、これは非常にもったいないことです。
初回相談は無料です。届出の控えと、手元にある領収書の状況だけお持ちいただければ、何が足りないかをその場でお伝えできます。