ご相談のきっかけ
埼玉県内で歯科医院を営むY様(40代・個人事業)と、経理を担当されている奥様からの無料相談でした。
「開業してから8年、経理は妻が独学でやってきました。申告は税理士にお願いしていますが、日々の処理が正しいのかどうかは誰も見てくれていません。同級生の医院に税務調査が入ったと聞いて、うちは大丈夫なのかと不安になりまして」。
そこで、日々の経理の状態を点検する形で無料相談をお受けしました。
状況の整理(タイムライン)
税務調査で見られるのは、申告書の数字そのものよりも、その数字がどうやって作られたかです。日々の処理を4つの観点で確認しました。
①窓口現金とレセコンの照合 Y様の医院では、レセコンの日計表は出力していましたが、実際の現金残高と突き合わせる作業はしていませんでした。月末にまとめて預け入れるだけです。ここが合っていないと、売上除外を疑われたときに反証できません。
②経費の証拠書類 領収書は保管されていましたが、会食の相手先や目的の記録がありませんでした。また、院長先生が個人のカードで払った材料代が、そのまま計上されずに終わっているものもありました。
③専従者給与の裏づけ 奥様には月額のお給料を支払っていましたが、勤務の記録がありません。タイムカードもシフト表もない状態です。税務調査で「業務の実態に対して金額が妥当か」と問われたときに、示す材料がありません。
④電子データの保存 材料のネット発注が増えており、領収書がメールやサイトからのダウンロードで届くようになっていました。これらは電子データのまま保存する必要がありますが、印刷して紙で綴じる運用のままでした。
当事務所の対応
改善すべき点を、優先順位をつけて4つに絞ってお伝えしました。 一度にすべてを変えようとすると続きません。
改善① 日次の現金残高を記録する。 診療終了後、金庫の現金を数えて用紙に書くだけです。レセコンの日計表と合わない日があれば、その理由をその場でメモする。1日3分の作業ですが、これがあるだけで税務調査での立場がまったく変わります。
改善② 領収書に情報を書き足す。 会食は相手先と人数、目的。研修は内容。受け取った直後に書くのがコツです。後からでは思い出せません。
改善③ 奥様の勤務記録を残す。 他のスタッフと同じようにタイムカードを打っていただきます。加えて、担っている業務を書き出した一覧(受付、レセプト請求、入金管理、給与計算、発注など)を作成しておく。専従者給与の妥当性は、この2つで説明できます。
改善④ 支払いを事業用カードに集約する。 現金払いをやめれば、計上漏れが減り、明細が自動的に証拠になります。電子で受け取った領収書は、フォルダを決めてデータのまま保存する運用に変えます。
結果
Y様の医院では、相談の翌週から現金の日次記録を始められました。カードへの集約も順次進めています。
奥様からは「自己流でやってきたので、どこが弱いのかを指摘してもらえたのが良かったです。全部を変えるのではなく、4つだけと言われたので取りかかれました」とお話しいただきました。
その後、クラウド会計の導入についてあらためてご相談をいただいています。
担当者からのひとこと
院長夫人が経理を担っている医院は非常に多く、そしてその多くが自己流です。それ自体は悪いことではありません。問題は、正しいかどうかを誰も見ていないことです。申告を依頼している税理士も、多くは出てきた資料をもとに処理するだけで、日々の運用までは見ていません。
税務調査で問われるのは、記録が残っているかどうかです。完璧な経理である必要はありませんが、後から説明できる状態にはしておく必要があります。
無料相談では、今の経理の状態を点検し、優先して直すべき点をお伝えします。「調査が来たら耐えられるか」が気になっている先生は、一度ご相談ください。