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[税務調査対応]

歯科医院の税務調査で自費売上を指摘|追徴を最小化する対応【東京】

歯科医院の税務調査で自費売上を指摘|追徴を最小化する対応【東京】

ご相談のきっかけ

K様(50代)は、東京都内でインプラントと矯正に力を入れた歯科医院を営んでいます。自費診療の割合は売上のおよそ4割。開業から12年が経ち、初めて税務調査の連絡を受けました。

ご相談のきっかけは、調査初日に調査官から投げかけられた一言でした。「矯正の患者さんからお預かりしたお金は、いつ売上に計上していますか」。K様の医院では、自費診療はすべて入金があった日に売上として計上していました。

「今までずっとこのやり方でしたが、まずいのでしょうか」。調査はいったん持ち帰りとなり、翌週までに回答を求められている——そのタイミングでのご相談でした。

状況の整理(タイムライン)

自費診療の売上をいつ計上するかは、歯科医院の税務調査で最も指摘の多い論点のひとつです。原則は、入金の有無にかかわらず役務の提供が完了した時点で計上します。

K様の医院の処理を1件ずつ確認すると、入金日基準で計上していたことにより、二つの方向のずれが同時に起きていました。

ずれ① 売上の計上漏れ(過少) インプラントで、期末近くに最終補綴まで終わっているのに、残金の入金が翌期になった症例。役務は当期に完了しているため、本来は当期の売上です。

ずれ② 売上の前倒し(過大) 矯正で、治療開始時にまとまった額を前受けし、その全額を入金時に売上としていた症例。装置の装着から保定まで数年かかるため、本来は前受金としてお預かりし、治療の進行に応じて計上すべきものです。

調査官が指摘したのは①の側だけでした。しかし、同じ処理方法によって②の過大計上も発生しています。ここを整理せずに①だけを認めてしまうと、本来払う必要のない税金まで納めることになります。

当事務所の対応

まず、対象となる症例をすべて洗い出しました。 レセコンの症例データから、対象3年分の自費症例について「治療開始日・最終処置日・入金日・金額」を一覧にし、期末をまたぐものだけを抽出しました。件数は3年分で60件ほどです。

次に、①と②を同じ表の上で突き合わせました。 年度ごとに、計上漏れとなる金額と、前倒しで計上していた金額を並べます。その結果、増差所得(追加で課税される所得)は当初に想定された金額の半分以下に収まること、3年分のうち実際に修正が必要なのは2年分だけであることが分かりました。

そのうえで、「意図的な売上除外ではない」ことを説明しました。 売上の計上時期の誤りは、指摘のされ方によって加算税の重さが大きく変わります。仮装や隠ぺいがあったと判断されれば重加算税(35%)ですが、会計処理の基準を誤っていただけであれば過少申告加算税(原則10%)です。K様の場合、入金日基準はすべての自費症例に一貫して適用されており、特定の患者さんの売上だけを除外した形跡はありません。この「一貫性」こそが、意図的でないことの何よりの証拠になります。症例一覧をそのまま提示し、処理の継続性を示しました。

最後に、翌期以降の運用を整えました。自費の売上は最終処置日で計上し、先にお預かりした金額は前受金として管理する。レセコンの症例ステータスと会計をつなぐ月次のチェック表を作り、期末をまたぐ症例だけを毎月確認する仕組みにしています。

結果

修正申告の対象は3年分のうち2年分にとどまり、増差所得は当初想定の半分以下に圧縮されました。加算税についても重加算税は課されず、過少申告加算税のみで決着しています。

K様からは「指摘されたときは、何年分もさかのぼって大きな金額を持っていかれると思って青くなりました。払いすぎていた分もあると分かって、ようやく冷静に話ができました」とお話しいただきました。

担当者からのひとこと

自費診療の売上計上時期は、歯科医院なら誰もが抱える論点です。矯正やインプラントのように治療期間が長い診療では、入金と役務提供のタイミングが必ずずれます。

大切なのは、指摘を受けたときに「言われたとおりに修正します」と即答しないことです。同じ処理方法が原因で、逆方向のずれ(払いすぎ)が起きていることは珍しくありません。両方を並べて初めて、正しい増差所得が出ます。

調査が始まってからのご相談でも間に合います。回答期限の前に、一度お声がけください。

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